生きるための命

  • 2017.03.15 Wednesday
  • 01:42

私は13年前にべビー救済をスタートしましたが4組目でまさかの障害があるかも知れない赤ちゃんが誕生してしまいました。

染色体に異常はなく何が原因が分からず検査の連続でした。

小さすぎてまだはっきりしない事と実親が若く上に子供がおりその子の世話で病院にも通えず退院はしたものの養子縁組を保留にして治療を優先させました。

ただ、連れては帰れず本部からはとても通える距離ではなくたまたま知り合いがおりそのご家族にサポートをお願いしてしばらく様子を見ました。 病院側は実親が未婚である事やかなり妊娠が経過していることを理由に子育ての能力があるのかなどかなり疑ってかかってとても状況的に問題で養子縁組をする意向である事は伝えられず見守る毎日でした。

 

沢山の困難を乗り越えて次々出る課題にどれほど頭を悩まし心が打ち砕かれたことか・・・1年間です。 私のベビ−救済の肥やしになった案件でした。

当時は今より更に偏見の目で見られ障害があるかも知れない赤ちゃんの養子縁組など到底病院では理解してもらえずただただ無事に退院し私の手元に来るのを待つのみでした。

1ヵ月以上かかり仕方なしに一時は乳児院が満員で里親宅に委託になりろくな世話もしてもらえずやっと迎えに行けました。

飛行機で抱いて連れて来る時に「幸せになろうね」と言いながら機内で故郷に別れを告げて旅立ちましたがその後もまた数えきれずの問題を抱えました。

 

そしてマッチングもなかなかうまく進まず国内では4組が見立てで断って来ました。

こういう赤ちゃんは普通では元気に誕生することは出来ず途中で流産したり死産したりしてしまいこの世に生を受ける事はまずない命だと医師に言われました。

 マッチングが進まない中、当時4歳だった娘は「うちの子にしようよ。あたしの妹」と言いながらもう可愛くて離しませんでした。 「凄い子やなこの子は。精子が3億いるならその中から選ばれた一人、エリート中のエリートやんか。こうして誕生出来たのだからピカピカの命やんか!」と旦那は褒めていました。 本当にその通りで生まれない命のはずがこうして誕生したのですからこの世に使命を持って生まれたはずです。

その使命が何かはその後にならないと分かりません。 この頃、子供の障害や病気の相談が多い中時々この子のを事を思い出します。

 

私は1年間も自分の手で育てるとは当初思いもせず少しだけ弱いところがあるだけでこんなにも日本人は目を向けてくれないのかと言う現実を知りました。

しかし同じ状況でも海外では違いました。 1ヵ月で親は決まり海外から養親が迎えに来てくれて今度は成田空港に見送りに行く事になりましたが大勢で涙涙で別れました。

1年間の思い出を残し沢山の試練を乗り越え海を渡る子供に本当に感謝しました。

そして「絶対に私のような子供を見捨てないでね。諦めないで親を探してあげてね」という強いメッセージを残して自分の新しい世界へと旅立ちました。今でも強く肝に命じております。

怒涛のような試練の1年間でしたがそこでの学びは私には大変貴重で命の誕生の意味を思い知らされました。 沢山の試練と沢山の経験とそして幸せ感も味わえた時間でした。

今はもう元気に海外で中学生となり日本語の話せない日本人ですが今でも魂の中に私達家族が住み着いているのだろうかと思う事があります。

 

何があろうと命に無駄なものはない、必要あって誕生するのですから生かしてあげないといけない。

綺麗ごとや甘い考えで養子縁組など出来ない現実があります。 これから子供を迎えたいご夫婦はもっともっと深く自分達夫婦の事、色々に変化する将来を重く考えて進んで下さい。

簡単な養子縁組なんてどこにもありません。 自分たちがなぜ実子が授かれないのか、そして養子を迎えるとはどんなことなのか、ただ可愛いとか嬉しいとかだけでは困難がぶち当たった時抜け出せなくなります。

生まれて来た子供には何の罪もない、子供に対してたとえ健康体でなくてもそれに対して差別や批判はして欲しくない、完璧な人間なんていないのですから。

親が手を差し伸べる事で良くなる事もあり大きな変化も見られる事もあります。 その可能性を持って生まれて来る尊い魂なのですから。大事に大事にして欲しいです。

 

Babyぽけっとで病気や障害のある子を迎えて下さり大事に育てて下さっているご家族に心から感謝します。

健康体なら喜んで迎えてくれますが少々健康面で問題があるとなるといきなり親の介護や親族の反対が出たと断るケースが多発しております。

そこで断るならば始めに十分に情報を把握して夫婦間や親族間で話し合いその結果を再度認識して申し込まれる方が受ける側や実親の方も負担が軽くなり安心できます。 安易に養子縁組を決断して夢と現実との違いも思いしる事にもなりますので最後はご自身の決断とご自身の責任で進める事をお願いします。

私達は実親の相談からすでに沢山の人が1組の縁組に向けて動いております。

断るのは簡単ですがそれまでには多くの労力が使われまた白紙になると実親側の心にも傷を残し関わる者への落胆も拭いきれないものがあります。

白紙やキャンセルには非常に多くのエネルギーを費やし積み上げたものを全部壊し後々関わった誰しもが脱落感と何らかの憤りも残す結果になります。

 

 

(信濃毎日新聞より抜粋)

 

3年前に渋谷の道玄坂でに事件。

3年が経過して裁判になり結果、生後3ヵ月で赤ちゃんは死亡しているのに犯人とされている当時の未成年は無罪。

人間が一人無抵抗で傷だらけにされて死亡したのに無罪。

大事に育てると言って連れて帰ったのに。

生きる為の命だったはずが死亡しても誰もこの赤ちゃんを思い出してくれないかのような無情な判決でした。

なんの声も上げられない小さな命はいつまでたっても浮かばれない。

もし育てる親が違っていたら全然違う現実があったかもしれないと思うとやるせない。

ほんの一時でも関わった者としてあの時どうすれば良かったのかと言う疑問を残したまま終わってしまった感じです。

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  • 2024.03.26 Tuesday
  • 01:42
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    コメント
    マザーさん、
    日々のベビー救済活動、
    誠にありがとうございます。
    この春も沢山の子ども達が、
    実親さんからの愛を託されて
    素敵なパパとママのところに
    巣立っていきましたね。
    その中には障がいを持った赤ちゃんも。
    受け入れられたご夫妻の皆さんは誰もが素晴らしい笑顔で、
    とても嬉しく思いました。

    私たちが養親かけだしの頃に、
    この海外に行った女の子のケースの映像を
    見させて頂きました。
    日本人である待機の親が
    立て続けに断った時の残念な思いを
    お話してくださいましたね。
    その女の子ももう中学生なのですね!
    子どもの成長は本当に早いものです。
    幸せに成長しているという報告は
    マザーさんのベビー救済活動が一歩一歩前進していることをつよく感じさせてくれます。

    私たちが御縁を頂きました6年前よりも、
    今は更に素晴らしい縁組ファミリーも沢山増えて、色々なメッセージを発信してくださるようになりました。
    大きく進歩したように思います。
    またファミリーの皆さんの積極的なメディア協力によって、
    この国の民間による養子縁組のイメージも
    かなり改善したと感じられるようになりました。
    (まだまだ道半ばかも知れませんが。


    今は予備軍研修会や面接説明会後の交流会などがあって、
    こうした障がいを持って生まれてきた子どもに触れ合い考える貴重な機会も多くありますね。
    素晴らしいですが、今でも御縁に対して断りを入れてくる夫婦がいることもまた事実なのですね。
    とても重く受け止めさせて頂きます。

    私たち縁組家族は全て、
    考えていても何もはじまらないと、
    ベビーぽけっと会に全てお任せしようと、
    論理を超えて会に飛びこんだからこその今があります。
    全く未知なる世界でした。
    それでも自分達の直感に全てを賭けました。
    愛を託された生命(いのち)を育むことは、良いことばかりではありません。
    良いことも悪いことも表裏一体となって存在するもの。
    でも選択したのは自分達で、
    誰のせいにもできません。
    子どもが大好きだけれど
    子どもがいない私たちが、
    こうして子育てさせて頂けることは
    何ものにも替えられぬ喜びです。
    子どもに向き合って信じて託されたことは凄いこと。
    誇りを持って期待に応えて欲しいです。

    6年間子育てをして強く思い至ったのは、
    現時点での子どもの発達や成長を見守りながら、
    その時その時でひとつひとつ最良と思えることを選択して実践することの大切さ。
    発達や成長がゆっくりで、
    療育が必要であったり、
    特別な施設に通うことになったとしても、
    その中に確かな喜びが存在し、
    それを見出だして笑顔いっぱいに進めて欲しい。
    そう願ってます。

    春は幼稚園や保育園、小学校と入学の時期。
    否応なしにそうしたことにむきあわなければなりません。
    それでもお互いの子育てを励ましあい、
    喜びあえる仲間であってほしいといつも願ってます。

    3年前の痛ましい事件。
    ひとつの生まれて間もない生命が失われたことに対して、司法も無力ですね。
    どうしたら救えたのかまで突き詰めなければ本当の解決にはならないと思います。
    忘れることはできませんし、
    忘れてはならないことです。
    これから実親さん養親さんになる方々に繰り返しこの赤ちゃんの無念を伝え続けることが、この赤ちゃんという存在の大いなる役割となって他の沢山の赤ちゃんを救う中で輝きを放ちますね!

    P.S.
    明日は我が家のゆぅちゃんの卒園式です!
    あらためて感謝のご報告をさせて頂きます。
    お楽しみに♪
    • yutapa&yutama
    • 2017/03/15 6:16 PM
    代表を始め、BPのみなさんはじめまして!
    いきなりの投稿大変失礼致します。
    私は、40歳を目前に控えた主婦です。
    約30年ぐらい前、小学生の時に放送された「太平洋ベビー」と言うドラマを見てから、養子縁組に関心を持ち、色々な施設や団体を調べては自分なりに知識を増やしていきました。
    BPさんのことも何年も前から存じ上げていて、陰ながらいつも応援しております。

    私自身は、実子が3人おり、特別養子縁組に進んだ訳ではないのですが、皆さんの活動にいつも頭の下がる思いです。

    こうして、意味があってこの世に誕生した命!障害の有無など、大変なご苦労があることと思いますが、どうぞ目の前の命を、日本の宝を救って下さい。

    私みたいな1人のおばさんの応援では、何の力にもなれないことは分かっていますが、日本のどこかに、応援しているおばさんがいると思って頂ければ幸いです。

    まだまだ伝えたい想いは沢山あるのですが、まとまりなくてすみません。

    がんばれBP!!
    • YUKI
    • 2017/03/16 11:28 PM
    YUKIさん、暖かいコメントありがとうございます。
    本当に私たちにとり、フィトが出ます。
    養子縁組に興味を持って頂く事が私たちも嬉しく活動のし甲斐がございます。
    あなたのような方の応援は心に響きます。

    当会のHPには毎日沢山の方のアクセスがあり掲示板や井戸端への書き込みはほとんどありませんがみなさん、しっかりご覧になられております。
    何かありますと事務局宛にメールが届き知らせてくれたり感想を述べて下さったり本当に助かります。

    今後ともどうぞよろしくご支援下さいませ。
    • 事務局
    • 2017/03/22 3:46 PM
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